世の中の格言には面白い言葉が沢山あります。

今回は教育と人を残すことについて考えてみます。

金を残すは三流

名を残すは二流

人を残すは一流

このような有名な格言があり、先日亡くなられた野村克也さんもおっしゃられていました。

私は創業して10年余りになりますが、この言葉の意味を自分なりにようやく解釈できるようになりました。

目次

起業する目的はなにか?

企業を目指す多くの人は、「金銭的、物質的に豊かになりたいという思い」からスタートしている方が多いのではないかな?と思います。

最近では、『社会起業家』という起業家も注目されています。

『社会起業家』とは、社会の問題を解決することに重点を置き、より公益性の高い仕事を目指している起業家になります。

このタイプは、”聞こえ”はいいのですが、優先順位を間違えるとエラい目にあってしまうと思うんです。。。

ビジョンはとても素晴らしいですが、社会貢献性の高いことを本気でしたいのであれば、まずは会社で利益をしっかり出して、それを有効に使えばいいと思っています。

誤解を恐れず言うと、本来やるべきことから”社会貢献”という言葉に逃げているだけだと思うんです。

まずは、利益をしっかり追求して残す体制を作るのがいのではないかと思ってしまいます。

起業してしばらくすると・・・

経営者というのは、常に刺激を求めていると私は思います。刺激といってもワクワクすることや楽しいこととは別に、リスクを犯しながらそのスリルを楽しむような少し変わった人間が多い気がします。

特に5年、10年と経過すると業務がマンネリ化してきて、やや退屈になって来る人も多いのではないでしょうか。別の事業やライフワーク的なことをはじめたりすることが多いようです。

私は、多角的な事業展開については消極的な考えです。ただし、人を育てるという観点からみた時に、経営者としてチャレンジさせるのは大いに賛成です。

そういった意味で、自社の社員が独立する際には出来る限り面倒をみていきたいと思っています。

置かれた環境で人は変わる

残念ながら、社員として働くのと経営者として働く場合の仕事に対する姿勢や意識は明らかに違ってきます。

本当に同じ人間なの?ってくらい、昨日と今日で仕事に対する姿勢や学ぶ姿勢に変化が見られ、質問の仕方1つとっても全く違います。

仕事のために本の一冊も読まなかった人間が、起業家になった途端、物凄い量の勉強をするといった話しは珍しいことではありません。

それくらい厳しい世界だということを肌感覚で学んでいくのです。

置かれた環境がその人を育てるのでしょう。

起業家を多く輩出する経営者は優秀

「せっかく時間とお金をかけて育てた社員が独立して起業してしまった・・・」このように嘆いている経営者をよく見かけます。

その気持は痛いほどよく分かります。。。

ただ、そういう時は気持ちよく送り出してあげましょう。

そして、経営者の先輩として「何かサポートできることはないか」と歩み寄るべきです。出資や協業、設備の提供など可能な限りサポートするとよいでしょう。良好な関係を保つことで、将来的にお互いにプラスになるはずです。

喧嘩別れみたいな辞め方、独立の仕方は、孤立してしまうだけですし会社の変なイメージを吹聴されたりする可能性だってあります。

また、普段の接し方にも問題がなかったか反省しましょう。普段は仕事に前向きではない社員が、起業した途端、積極的になるというのはよくある話です。

普段から責任のある仕事を任せることで、未来を与えることができなければ、人は離れていくでしょう。

自学自習の環境と気付きを提供するのが最高の社員教育

上の立場の人間が強制的に指導したり、学習を促しても、多くの人間は動きません。私の感覚ですが、中小企業に勤務する社員で積極的に自学自習をしている人は全体の5%いるかいないかだと思います。

逆にいえば、中小企業の”伸びしろ”であって、一人ひとりのチャンスだと思っています。一人ひとりが学習をする習慣をつければ組織は強くなりますし、経営者はなんとか気づきを与えられるようにならなければなりません。

もし、可能であれば社員に対して環境(責任のある)を与え、”任す”ことで責任が生まれ、人や組織の成長に繋がるのだと思っています。

『人を残す』というのは本当に難しく、難しいからこそ、『人を残せる人』は一流と言われるのでしょう。

経営者の立場から見た時、人の成長がいちばんの喜びであり組織の成長にも繋がるのだと思っています。