「診療中に不審者が入ってきたら…」「薬品庫から薬が盗まれていた…」そんな不安を感じたことはありませんか?
実は、医療機関を狙った犯罪は年間約800件にものぼり、被害額は平均80万円とも言われています。被害はお金だけでなく、患者様の安心やクリニックの信頼にも大きく影響します。
特に小規模なクリニックは人目が届きにくく、狙われやすいという現実もあります。ですが、的確な防犯カメラの導入によって、多くのリスクは未然に防ぐことが可能です。
この記事では、クリニック特有の防犯ニーズに合わせたカメラの選び方と運用ポイントをわかりやすく紹介します。
防犯カメラで患者とスタッフを守る仕組みづくりを一緒に考えていきましょう。
目次
なぜクリニックや開業医は狙われやすいのか?

クリニックや小規模開業医には、他の事業所と違う「特別なリスク」が存在します。大規模な病院、総合病院と比べると、資金力や対応力に劣るため、防犯対策が甘くなりがちです。
具体的なリスクについて確認していきましょう。
薬品・医療器具の盗難
麻薬や向精神薬、高価な医療機器は犯罪者にとって魅力的なターゲットです。薬品庫に鍵をかけていても、建物自体に侵入されては意味がありません。
現金管理リスク
診療費の多くは現金でやり取りされ、レジや金庫にまとまった現金が残ることもあります。不審者は営業時間中の受付を狙うケースもあります。
個人情報の漏洩
紙のカルテやUSBメモリの盗難、PCの持ち去りなどにより、患者のセンシティブな情報が外部に漏れる危険性があります。
診療時間外の無人リスク
夜間や休日は無人になるため、侵入や盗難のリスクが高まります。
患者・スタッフにも影響を及ぼすリスク

クリニックの防犯対策が緩いことで、患者やクリニックで働くスタッフにも悪影響を及ぼすリスクがあります。患者やスタッフに及ぼすリスクとはどのようなものなのか?
ここで改めて考えてみます。
患者様の不安
「ここは安全なのか…」と感じれば、通院をためらう人も。特に女性やお子様連れの方は、安心感を重視します。
スタッフの労働環境
「いつ不審者が来るかわからない」という不安を抱えた状態での業務は、精神的にも負担が大きく、離職率の増加にもつながります。
防犯カメラがもたらす安心

クリニックの防犯対策が甘いことで、患者やスタッフに悪い影響を及ぼしますが、逆に対策をしっかりすることによって、小さなクリニックでも安心して患者やスタッフを迎えることができます。
安全性と信頼性の向上
カメラの存在は犯罪抑止にとても効果的です。患者様に「このクリニックは安心だ」という印象を与えることができます。
トラブルの記録と対応
待合室での転倒や、診療費の支払いトラブルも録画が証拠になります。公平な対応ができ、信頼関係の維持に役立ちます。
スタッフ管理や研修にも活用
勤務状況や休憩の取得状況を確認しやすくなり、教育ツールとしても利用できます。
防犯カメラ設置のポイント

一概に防犯カメラといっても、様々な種類のカメラがあります。場所やシーンによって設置するカメラを適切に選択することで、より効果的な防犯対策が可能になります。
待合室:広角でプライバシーに配慮する
全体を映しながらも個人が特定できるほどの解像度は不要です。録音は避け、撮影中の掲示を公にわかるようにしましょう。
受付・会計:高解像度+録音対応
金銭授受の記録ができるような高解像度のカメラを設置するようにしましょう。患者様に録音の旨を表示して、同意を得ることが重要です。
薬品庫・器具室:24時間監視+アラート機能
動体検知や赤外線撮影で、夜間も含めてしっかり監視。定期的な録画確認も必要です。
駐車場・入口:顔認識+防水機能
来訪者や不審者の識別、車両トラブル防止に。夜間対応の赤外線撮影や照明との併用も効果的です。
注意すべき法的・倫理的配慮
防犯カメラを設置することで、患者やスタッフに対して安心をもたらすことが可能になります。ただ、一方で法的・倫理的な配慮も必要になってきます。
そういった側面では、以下の点に配慮が必要になります。
プライバシー保護が最優先
医療法・個人情報保護法の観点から、設置目的の明示と患者様への説明・同意が必要です。
診療室の撮影は原則NG
診療内容の録画は信頼関係を損なう恐れあることを忘れてはいけません。どうしても設置が必要な場合は、入口のみで、書面での同意を取りましょう。
スタッフ・患者への配慮も忘れずに
設置目的を明確に説明し、不安を与えないように。撮影範囲も図解で示すと丁寧です。
防犯カメラは「安心のインフラ」
防犯カメラは、ただの「監視」ではありません。
患者様が安心して通い、スタッフが安全に働ける環境をつくるための大切な設備です。
「後で考えよう」では手遅れになることもあります。
小さな一歩が、大きな安心につながります。今こそ、クリニックの防犯対策を見直してみませんか?
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