無人運営が主流のコインランドリーでは防犯カメラの選定はとても重要な要素です。

近年、コインランドリーの利用者は増加傾向にあり、それに伴って新規店舗の出店も相次いでいます。中でも「無人運営型」のコインランドリーは、人件費削減や営業時間の柔軟化といった点から、個人経営者や複合施設において特に注目されています。

しかし、その便利さの裏で無視できないのが “無人であることによるリスク” です。

店内には基本的にスタッフが常駐しておらず、利用者が一人きりになる時間帯も珍しくありません。万が一トラブルが発生しても、誰も気づかず、対応も後手になります。

そんな中、防犯カメラの存在がコインランドリー運営のかなめとなりつつあります。防犯目的はもちろん、施設内の利用状況の確認、トラブルの記録、設備破損や忘れ物対応など、さまざまな役割を1台で果たせるのが最大の魅力です。

本記事では、これから開業を検討している方、既存店舗の防犯対策を見直したい方に対して、

  • 実際にコインランドリーで起きているトラブルの事例
  • どのような防犯カメラが適しているのか
  • AIカメラを導入することで得られる“もう一歩先”の安心感

について、具体的に解説していきます。

目次

コインランドリーで実際に起きているトラブル事例

無人運営のコインランドリーでは、日々さまざまなトラブルが発生しています。

管理人が常駐しないからこそ、現場を見ていない状況で対応を迫られるケースも多く、「あとから事実確認ができない」という大きな課題に直面します。

ここでは、実際に多くのオーナーが直面している典型的なトラブルの例をご紹介します。


精算機・洗濯機の破壊・盗難

もっとも深刻かつ損害が大きいのが、精算機の破壊や現金の盗難です。深夜や人通りの少ない時間帯にバールなどで精算機をこじ開けられ、現金を抜き取られる被害が報告されています。

また、洗濯機や乾燥機そのものを傷つけられるケースもあります。高額な修理費用が発生するだけでなく、一定期間その機器が使えなくなることによる営業機会損失も見逃せません。


利用者間のトラブル(順番トラブル・苦情・長時間占拠)

利用者同士のトラブルも意外と多い問題の一つです。

例えば、「洗濯物を勝手に出された」「乾燥機を占領されていて使えなかった」といった声は、実際に店舗に苦情として寄せられる代表的な内容です。

常駐スタッフがいないために現場での仲裁ができず、対応が後手になるのが現実。こうした問題が頻発すると、店舗の評判やリピート率にも悪影響を及ぼします。


不審者の侵入・深夜のたまり場化

24時間営業のコインランドリーでは、深夜に若者や不審者が長時間滞在することもあり、「たまり場」になってしまうケースも見受けられます。

タバコや飲食のゴミが放置される。備品が破壊される。さらには周辺住民からの苦情に発展することもあるため、防犯上の観点からも無視できない問題です。


衣類の持ち去り・置き去りトラブル

忘れ物・放置物・誤って持ち帰られた衣類など、利用者の私物に関するトラブルも多発しています。

「乾燥機に入っていた服がなくなっていた」「別の人の洗濯物が置きっぱなしで使えない」といったケースでは、カメラ映像がなければ誰が何をしたのか特定できません。

女性目線で見た場合に、下着や衣類を盗む犯罪は、コインランドリーの利用を躊躇する理由になります。これは非常に大きな機会損失です。

これらのトラブルは管理者の責任が問われます。周辺地域の治安悪化につながるため対策が不可欠です。

実際の防犯カメラ設置事例から学ぶ対策の効果

防犯カメラは「設置されているだけ」では意味がありません。どこに・どのように設置するかが効果を左右します。ここでは、実際のコインランドリー運営者が導入した防犯カメラの活用事例をもとに、その具体的な効果をご紹介します。

出入口+店内全体を見渡せる広角設置の実例

ある郊外型コインランドリーでは、防犯カメラ2台の設置により、出入口の顔認識+店内全体の俯瞰映像を実現しました。

1台は店舗の出入口に向けて設置され、来店者の顔や行動が明確に記録できるようになっており、もう1台は広角タイプのドームカメラで店内の洗濯機・乾燥機ゾーンを一望します。

これにより、出入りの映像記録、滞在時間、機器の操作状況まで可視化され、万が一のトラブル時にも時系列で確認できる体制が整いました。

録画映像がクレーム解決・警察提出に役立った事例

別の都市部の店舗では、洗濯物の持ち去りを巡るクレームが発生しました。

利用者から「洗濯機を回していたのに、終わった後に中身が空になっていた」と苦情が入り、管理者は録画映像を確認。すると、他の利用者が誤って洗濯物を取り出してしまった様子が映っており、事実を冷静に伝えることでトラブルは解決しました。

また、精算機破壊の事件が発生した際には、録画データを警察に提出し、容疑者特定につながったという報告もあり、防犯カメラは法的な証拠としても極めて重要です。

カメラの存在によるマナー向上・利用者の安心感UP

防犯カメラがあることは、利用者の心理にも大きな影響を与えます。

「録画されています」「防犯カメラ作動中」といった表示とともに設置されたカメラにより、店内の清掃状態が向上し、ゴミや放置物が減ったというオーナーの声もあります。

また、一人で利用する女性や高齢者も“見守られている”安心感から、夜間の利用をためらわずに済むようになったという効果も報告されています。

このように、実際の導入事例からもわかるように、防犯カメラは単なる「記録装置」にとどまらず、店舗運営の信頼性を支えるインフラとして機能しているのです。

コインランドリーに最適な防犯カメラのタイプとは?

無人営業が基本のコインランドリーでは、カメラの「種類」と「性能」がそのまま店舗の安全性や信頼性に直結します。ここでは、実際の導入現場でも選ばれているおすすめのカメラタイプと機能を紹介します。

ドーム型 vs バレット型:設置場所による選び分け

ドーム型カメラは、天井などに目立たず設置できるコンパクトなデザインが特徴。店内の洗濯エリアや待合スペースなど、利用者の目線が気になる場所にも自然に設置可能です。

一方で、バレット型カメラは、レンズの向きが明確に見えるため、威圧感による犯罪抑止効果が高いとされています。店舗の出入口や外壁、駐車場など、不審者の侵入リスクがある場所に最適です。

用途や場所に応じて、両タイプを使い分けるのが効果的です。

赤外線・フルカラーナイトビジョン:夜間対応は必須

夜間営業や24時間営業のコインランドリーでは、暗所でも鮮明に映像を記録できる機能が不可欠です。

従来の赤外線カメラでは白黒映像でしたが、近年はフルカラーナイトビジョン対応モデルも登場し、暗い環境でもカラーで服装や顔を記録できるため、トラブル発生時の証拠能力が格段にアップします。

深夜のトラブルや不審者対策には、こうした高性能な夜間撮影機能が強く推奨されます。

音声記録・マイク内蔵カメラ:トラブル対応力UP

意外と見落とされがちですが、音声録音機能のあるカメラは利用者間のトラブルやクレーム対応に非常に役立ちます。

例えば「順番を抜かされた」「大声で騒がれた」などの言い分が食い違うケースでも、映像+音声が残っていれば正確な状況把握が可能になります。

また、運営側が遠隔でマイクを通じて「こちらは録画中です」「機器トラブルが発生しています」などと案内できる双方向通話対応のモデルもあります。

クラウド録画・遠隔視聴対応:無人でも“見守れる”安心

物理的に録画機器を設置せず、クラウド録画でデータを保管できるタイプは、機器破損・盗難のリスクを避けられ、より安全です。

さらに、スマホやPCからリアルタイムで映像を確認できるカメラなら、常駐スタッフがいなくても「どこでも見守れる運営」が可能になります。

複数店舗を運営している場合にも、一括管理・通知連携ができるので非常に効率的です。

AI機能付きカメラでさらに高まる運営力

コインランドリーにおける防犯カメラは、今や“録画するだけ”の時代ではありません。AI搭載のスマートカメラを活用することで、無人店舗の管理はさらに効率化・高度化されます。ここでは、AI機能によって実現できる具体的な効果を紹介します。

人物検知・長時間滞在の自動検知

AI搭載カメラは、人間の姿や動きを識別し、「人がいる」「どのくらい滞在しているか」といった情報をリアルタイムで把握できます。

これにより、機器の前に不自然に長時間留まっている人や、営業時間外の出入りなどを自動的に検知し、管理者にアラートを送ることが可能です。

他にも、両替機の付近に一定時間以上いるとセンサーが完治してアラームが鳴るようにしたり、管理者に通知を送らせることもできます。

これにより、テクノロジーの力で巡回なしでも常に目が行き届いている状態をつくり出せます。

不審行動のアラート通知

AIは単に人物を検出するだけでなく、「通常とは異なる行動パターン」にも反応できます。

例えば、

  • 同じ場所を何度もウロウロする
  • 洗濯機の扉を無理にこじ開けようとする
  • 機器の裏側を覗き込む

など、“不審行動”を自動認識し、即座にスマホや管理画面に通知が届く仕組みを構築できます。トラブルが起きる前に対応できるのは、AIカメラならではの大きなメリットです。

音声通話・ライトによる遠隔威嚇

AIと連携したカメラの多くは、双方向音声通話機能や威嚇用のライトを備えています。

異常を検知した際には、

  • 「録画中です。防犯のため行動を記録しています」
  • 「長時間の滞在はご遠慮ください」

といった音声メッセージを自動で流すことで、不審行動をその場でけん制できます。さらに、照明の点灯で視覚的にも注意喚起でき、無人でも有人店舗に近い対応が可能になります。

関連記事:防犯カメラにAI搭載で何ができる?機能・メリット・活用法をわかりやすく解説!

来店データの可視化 → マーケティング活用の可能性も

AIカメラは、単なる防犯だけでなく来店人数や時間帯などのデータ収集・分析にも活用できます。

  • どの時間帯に利用者が多いか
  • 客層の特徴(年齢層、性別など)
  • 滞在時間や機器の稼働状況

こうしたデータを活用することで、洗濯機の設置数・位置の最適化やキャンペーンの時間設定など、運営の質を高めるマーケティング戦略にも応用可能です。

防犯カメラ導入で変わる運営者と利用者の意識

コインランドリーに防犯カメラを導入することは、単なる防犯強化にとどまりません。それは店舗の“空気”を変え、運営者と利用者の双方に新たな安心感と信頼感をもたらします。

ここでは、カメラ設置による意識の変化について紹介します。

「無人=放置」ではなく「無人=見守られている」空間へ

かつて「無人店舗」と聞くと、どこか“放置されている場所”という印象を持つ人も少なくありませんでした。

しかし、防犯カメラがあることで店舗空間は一変します。利用者は「誰もいないけど見られている」「何かあったら記録が残る」という安心感を持つようになります。

その結果、

  • 利用マナーの向上
  • トラブルの予防
  • 施設を丁寧に扱う姿勢

といったプラスの行動が自然と増えていきます。

関連記事:防犯カメラがあるから無人店舗は成り立つ|“人がいない”安心をつくる仕組みとは?

トラブル防止だけでなく「信頼されるお店づくり」に直結

カメラの有無は、店舗そのものの信頼度を左右する要素でもあります。

  • 女性が夜でも安心して使える
  • トラブルがあっても証拠が残る
  • 管理されている清潔感ある店舗という印象

これらはすべて、防犯カメラという「見えない接客」が作り出す効果です。“管理されているお店”という印象が、店舗全体のブランド力向上にもつながります。

防犯対策がリピーター獲得にも貢献

安心して利用できる店舗は、自然とリピーターが増えていきます。

特に、夜間帯に利用する人や女性・高齢者の来店が多い店舗では、「防犯カメラがあるからこそ安心して使える」という声が多く聞かれます。

また、清掃スタッフや委託業者にとっても「管理されている」という意識が働くため、サービス品質の向上にもつながるのです。

防犯カメラは“コスト”ではなく“経営インフラ”

コインランドリーの運営において、防犯カメラはもはや「あると便利な機器」ではなく、「なければ成立しない必須設備」です。

無人であっても安心して利用される店舗に共通するのは、見守られているという安心感の提供とトラブル対応の土台となる映像記録の存在です。

一見するとカメラ導入はコストに感じられるかもしれません。しかしその実態は、

  • トラブル対応の簡素化
  • マナー向上による管理コストの削減
  • 利用者の信頼獲得とリピート率の向上

といった“経営効率の改善”と“売上維持・向上”に直結する投資です。

現在は、小型・低価格・スマホ連動といった使いやすい機種も増え、1台数万円から導入可能なモデルも多く登場しています。

「人がいなくても大丈夫」は、防犯カメラというインフラがあるからこそ実現できる現代の店舗運営の形です。無人店舗を“成功させる仕組み”の第一歩として、防犯カメラの導入を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。